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過去の話シリーズ(4) ベンチャー企業でオリジナルCADのコア部分を開発する(前半)

自己紹介シリーズ第4弾です。前回の 転職しベンチャー成功ストーリーを体験 に書いたようにベンチャー企業は、紙図面からCADデータに変換する装置で成功し資金も出来、いよいよ社長の夢であった自社オリジナルのCADを開発に乗り出しました。

PCB CAD 画像はイメージです

社長は家電メーカーに勤めていた時にCADに触れ、その可能性に感動し紆余曲折を経てある商社が輸入しているCADのサポート会社を設立しました。そして電気系CADのサポートをしながらも、いつかは自社CADを開発し日本でトップ企業になる野望を抱いていたようです。

資金も出来てその時が来たのですが、本格的にソフトウェアを開発者した人間は3人しかいなっかので3人で作る事になりました。私は 卒業研究でLisp処理系を作った に書いたようにコンピュターサイエンスに触れた経験あったので、CADデータの管理・表示を行う CADのコア部分を担当する事になりました。
私にとって非常に思い入れのあるソフト開発なので今回はやや詳細に書きます。

CADデータ変換装置を作ってから数年が経っていました、その頃ににはモトローラが完全32bitのCPU 68020を発表し、それを搭載しディスプレイ、ディスク、ネットワール(LAN)を持った高性能なコンピュータ ワークステーション を米国のベンチャー企業 Sun Microsystems や Apollo Computer が発表していました (まだその時点ではPCは非力で本格的なCADを動かすには能力不足でした)。

ところで、CADとはどんなソフトウェアでしょうか? ここでは電気系CADに付いてのみ説明します。CADを使った事が無い方は図形を書くイラストレータやPowerPointの図形メニューを想像して下さい。
上の画像は電気製品の中にあるプリント基板のCADデータです、大量の図形が書かれていますね。しかしCADはだだ図形を書いただけではなく、図形には色々な属性情報が付加されていて、そこから製造につながるNC装置や部品表などのデータが抽出できたり、設計ルールが守られているかチェック出来たりしました。

さて、私も他の開発者もCADなど作った事はありませんでした。しかし他の2人はCADのサポートを行っていたので、そのCADのデータ構造の概要や機能を知っていました。また、私もCADデータ変換装置用に簡単な図形データ編集ソフトを作っていました。それらの情報・知識をもとにどうやったらCADが作れるのかを来る日も来る日も考えました。

・・・ 次回へ続く・・・

付録

当時の電気系CADに付いての補足情報です

  • 電気系CADは元々LSI (集積回路、IC、チップ)の設計・開発用のツールとして発達してきました。従って電気系CADの本場はLSIを作る企業が多かったシリコンバレーです、いくつものベンチャー企業がCADを開発していまいした。
  • 家電製品も高機能化・小型化や多品種生産などから人手による設計・開発が困難になりCADが導入されました。LSI用のCADは一部カスタマイズする事で家電で使うプリント基板の設計・開発に使う事が出来たのです。
  • 私のいたベンチャー企業はCADのサポートから始まりましたが、サポートは家電メーカーで(LSI用の)CADを使うためのカスタマイズや教育を行っていました。
  • 当時サポートしていたCADは16bitのミニコンに高速のグラフィックディスプレイや大容量のハードディスクを搭載した物で複数の端末が接続出来ましたが、とても高価でしたし複数の人が使うには性能不足でした。
  • 回路図からプリント基板の配線を自動的に生成するオートルーターは当時既にありまいしたが、処理時間がかかる割には出来た基板の品質は低いものでした。

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EY-Office代表取締役
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